Columnコラム

【診療所開設】在宅専門の診療所って開設できるの?

最近、「外来無しの診療所(在宅専門診療所)って開設できるんですか?」といったご相談を立て続けに
受けたため、少し記事にしてしてみようと思います。

”外来のある通常の診療所”との違いを比べながら見ていきましょう!

 

【もくじ】
1.在宅専門診療所は開設できるのか
2.在宅専門にする条件は
3.在宅専門にするメリット・デメリット

 

1.在宅専門診療所は開設できるのか

まず、”在宅専門の診療所は開設できるのか?”といった疑問にお答えすると、

「可能!(※地域による)」です。
※東京や大阪などの首都圏で「在宅専門診療所はダメ!」と言われたことは無いですが、もしかすると地域によっては外来診療を必須としている都道府県があるかもしれません・・・

 

では、在宅専門診療所として開設する条件はどのようなものがあるでしょうか?

 

2.在宅専門診療所にする条件は?

(1)保健所への手続き

こちらは一般(外来のある)診療所の開設手続きと同じと考えてOKです。
主な必要書類は、
①診療所開設届
②医師(または歯科医師)免許 ※原本が必要
③医籍登録年度によっては臨床研修修了登録証
④診療所の図面
⑤診療所の賃貸契約書 など
が必要となります。

※臨床研修修了登録証は”大学病院などが発行したもの”ではなく、”厚労省が発行したもの”が必要です。
3回に1回くらいの確率で大学病院発行の修了証をお出し頂くのですが、厚労省が発行したもので無いと
開設届を受け取ってもらえないので、要注意です。

 

マンションの1室などで開設するケースもありますが、診療所への動線や外来専門である掲示などについては
保健所と事前に相談を行うことが多いです。

 

(2)地方厚生局への手続き

こちらは通常の保険医療機関指定申請とは異なるので注意が必要です。

 

在宅専門の診療所で保険医療機関の指定を受けるには、通常の保険医療機関指定申請の書類に加えて下記の書類の提出を求められます。

①専ら往診・在宅訪問診療を行う診療所における指定申請書添付書類
②指定を申請する診療所及び在宅医療を提供する範囲がわかる地図
③在宅医療を提供する範囲の分かる区域の一覧
④3の地域の患者から、往診又は訪問診療を求められた場合、医学的に正当な理由等なく断ることがないこと
を周知したことのわかるもの。
⑤3の地域内における協力医療機関の一覧、又は地域医師会(歯科医療機関にあっては地域歯科医師会)から
 協力の同意が得られていることがわかるもの
⑥3の地域内において在宅医療を提供し、在宅医療導入に係る相談に随時応じること及び当該医療機関の連絡
先を周知していることがわかるもの
⑦診療所の名称・診療科目・通常診療に応需する時間の掲示の写し(写真)、HP掲載の内容等
⑧通常診療に応需する時間における患者、家族等からの相談に応じる設備等が確認できるもの
⑨通常診療に応需する時間以外の緊急時を含め、随時連絡に応じる体制の周知方法についてわかるもの

 

さらに、在宅専門の診療所として保険医療機関の指定を受ける場合は、次の条件を満たすことも必要です。

①無床診療所であること。
②当該保険医療機関において、在宅医療を提供する地域をあらかじめ規定し、その範囲(対象とする行政区
域、住所等)を被保険者に周知すること。
③2の地域の患者から、往診又は訪問診療を求められた場合、医学的に正当な理由等なく断ることがないこと。
④外来診療が必要な患者が訪れた場合に対応できるよう、2の地域内に協力医療機関を2か所以上確保している
こと(地域医師会(歯科医療機関にあっては地域歯科医師会)から協力の同意を得ている場合にはこの限り
ではない)。
⑤2の地域内において在宅医療を提供し、在宅医療導入に係る相談に随時応じること及び当該医療機関の連絡先
等を広く周知すること。
⑥診療所の名称・診療科目等を公道等から容易に確認できるよう明示したうえ、通常診療に応需する時間に
わたり、診療所において、患者、家族等からの相談に応じる設備、人員等の体制を備えていること。
⑦通常診療に応需する時間以外の緊急時を含め、随時連絡に応じる体制を整えていること。

 

通常の保険医療機関指定申請に加えてこれらの書類を作成しないといけないとなると、外来のある診療所の保険指定と比べて相当大変ですね。

 

また、これらの書類に不備がある状態で指定申請を行ってしまうと、「補正だらけで希望日に指定を受けられなかった・・・」という事態につながりかねませんので注意が必要です。

 

このように、保険医療機関指定が外来のある診療所の指定とは大きく異なるため、在宅専門の診療所の開設
を検討される場合は、お早めにご相談頂ければ幸いです。

(厚生局の求める基準をクリアできない物件を借りてしまっており、再度保証金を支払って物件を契約し直さないといけない事態も考えられます)

 

「自分が開設しようとする診療所はこれらの条件を満たしているのか??」

「どのように基準を満たしていることを証明すれば良いの?」

 

少しでも疑問があれば、お気軽に当事務所までご相談頂ければ幸いです。
※現在、多数のご依頼を受任しているため、お電話での無料相談を中止させて頂いております。
メールのご相談であれば初回無料で対応致しておりますので、お問合せフォームよりご連絡ください。

 

3.在宅専門診療所にするメリット・デメリット

外来診療を行う診療所の開設と比べてなかなか手間のかかる「在宅専門診療所」の開設ですが、
そこまでして開設するメリットはどのようなものがあるでしょうか?

 

(1)メリット

①初期投資を抑えられる

まず考えらるメリットが「初期費用を抑えられること」です。

外来診療を行うには、待合スペースや診察室、処置室や患者用トイレなどのスペースも確保しなければなりませんよね。

そうすると、必然的に”広い物件”を借りる必要があり、賃料や保証金も高額になりがちです。

 

また、診療や処置に用いる医療機器なども高額なものが多いので、これらを導入しなくても良い在宅専門診療所であれば、初期費用を低く抑えられます。

②収支を読みやすい

当事務所が特に若手の先生に「在宅専門診療所からの開業」をおススメしているのは、この「収支を読み
やすい」ことが一番の理由です。

 

外来患者数はどうしても季節や天気などの外部要因に左右されやすく、開業当初の時期に患者数が安定しないと、診療所の経営に大きく影響してしまいます。

 

その点、在宅専門診療所であれば、毎月計画通りに診療を行っていくため売り上げを読みやすく、収支が安定しやすいという大きなメリットがあります。

 

また、在宅の売り上げがある程度安定してきたら、後から”外来診療を開始する”こともできます。

※既存の診療所に外来対応ができるスペースが無い場合でも、既存の診療所から近隣に移転する場合は保険診
療を切れ目なく行うこと(遡及指定)も可能です。

 

(2)デメリット

では、反対に在宅専門診療所のデメリットはどのようなものがあるでしょうか?

 

①通常の訪問診療より算定できる点数が低い。

訪問診療専門として診療所を開設する場合、最大のネックがこの「算定できる点数が低くなる」ということです。

在医総管の点数が通常の診療所と比べて2割程度減算されることとなるので、その分効率の良い訪問計画を作成する必要があります。

そして、在支診の施設基準について”通常の診療所より厳しい基準”が規定されているため、”在宅専門の診療所では在支診として訪問診療料を算定するのは難しい”のが現実です。

 

また、在支診の施設基準を満たさないと、在支診であることを前提とする「在ガン」の施設基準も満たさなくなるため、ある程度訪問診療先が増えて経営が安定し始めたら、外来診療の開始も検討したいところです。

※在医総管の減算は、外来診療の数が全診療数の5%以上となれば解除されます。

 

②時間外対応の依頼がある

在宅診療を多く手掛けていると、いわゆる”オンコール”対応が増えてきます。

以前はよく「オンコール対応があるから旅行にも行けない・・・」と耳にしましたが、最近は
そのような声も少なくなってきているようです。

 

その理由として、複数の医療機関が同一の患者に対して訪問診療料を算定できるようになったり(一定の条件あり)、一次的な対応を行ってくれる訪問看護ステーションなどが多くなってきたことが考えられます。

 

また、”昼間の診察で患者の状態をよく観察し、施設の職員や看護師に夜間のケアの指示をあらかじめ行っておく
”などの対応を取っておくことで、夜間の緊急コールは相当減らすことが可能です。

 

 

今回は、通常の(外来のある)診療所とは申請手続きも運営方法も異なる「在宅専門診療所」について見てきました。

今後ますます高齢化が進む中で、必要性がより高まってくる分野だけに注目していきたいですね。

当事務所でも年に数件は在宅専門診療所の開設をお手伝いしておりますので、開設についてご心配なことが
ございましたらお気軽にご相談ください!

(当事務所におけるこれら在宅専門診療所の開設手続き一式の目安報酬は、248,000円~です)

(記事:濱崎)

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