Columnコラム

【複数診療所一体的開設】テナントビル内の連続しないフロアで診療所を開設できる?

以前(平成28年よりも前)は、”テナントなどで複数階にまたがる診療所”を開設しようとするときは「施設内部の専用階段」が必要とされており、

”3フロアをまとめて借りて、内部に大規模工事で階段を作る”

ような作業が必要でした。

 

しかし、平成28年3月7日 (医政総発0307第1号)において、「医療機関における施設の一体性について」”対象の拡大”(正確に書くと、”拡大”とは少し異なりますが、分かりやすさを優先してここでは”拡大”とさせて頂きます)が示されたため、条件付きではありますが、複数フロアにまたがる診療所や、公道を挟んだ診療所を開設することができようになりました。

 

以下でその条件などについて見ていきましょう。

 

1、テナントビル等の連続しないフロアなどで複数の診療所を開設するための条件は?

こちらは平成17年7月1日(医政総発第0701001号)において、

フロアや公道を跨ぐ診療所であっても ”一体性あり” と取り扱ってもよい条件などが書かれています。

 

【条件1】
両施設の位置する敷地間の距離が同一の管理者による管理及ぴ患者等の往来に支障をきたさない程度であること。
具体的には、施設間を隔てる公道等に両施設の敷地が面していることを原則とすること。

”診察室のある診療所の建物の向い(道を挟んで)にデイケア(デイサービス)施設などを開設する場合”などが
該当します。

 

【条件2】 公道等を隔てて位置する両施設の機能を十分考慮した上で、施設間の患者の往来の頻度や利用する患者の
病態等を勘案し、衛生面や保安面などで医療の安全性が十分に確保されていると認められること。

具体的には、施設を隔てる公道等には、特に狭唆な場合や自動車の通行が禁止されている場合を除き、横断歩道が
ある、又は、医療機関の職員による介助がある等、安全性への配慮が十分になされている必要があること。

一方、手術を終えた患者や病状が不安定な急性期の患者が公道等を通って手術部門や検査部門等から病棟部門に移動
するような場合は、医療の安全性が十分に確保されているとは認められないこと。

 

”同一テナントビル内の異なるフロアに診察スペースと処置スペースを作るような場合”が該当します。

 

2、必要な手続きは?

では、これら一体性のある(複数の施設のある)診療所を開設するには、どのような手続きが必要でしょうか?

 

まずは、保健所に図面や賃貸契約書(案)などを持参し、複数フロアの診療所を一体的に開設できるか事前相談を
行いましょう。

 

そこでは、

①複数フロア(複数の施設)に一体性があるかどうか
②一体性があるとして、どのように運用するか(衛生面や安全の確保は可能か)
③職員の体制はどのようになっているか

などを中心に審査されます。

 

これらは口頭で説明するだけではなく、
「安全性を確保していることの誓約書」「他フロア運用のマニュアル」などを作成する必要があります。

 

これらの資料を作成する際は、当然ですが、物理的人的に実現可能な内容にする必要があります。

 

そして、これらの事前協議が終わった後、晴れて診療所開設届を提出することが可能となります。

そこからは、通常の診療所開設と同じように、開設時の立ち入り検査(実査)などが行われますので、

診療所の開設に必要な物は揃えておきましょう。

 

マニュアルや誓約書の作成は時間がかかる上、保健所が納得する内容で無いと一体的管理の許可をしてくれない
ので、診療所開設の専門家に早めに相談しましょう。

 

3、おわりに

今回は「テナントなどで複数階にまたがる診療所の開設」についてみてきました。

このような取り扱いが可能になったことで、費用をかけずに大きな診療所を開設することができるようになりました。

ぜひ有効に利用しましょう!

 

(記事:濱崎)

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