医療機関におけるクレーマーは、医師やスタッフの大事な時間を奪い、業務を阻止する観点から非常に問題となっています。
こういったモンスターペイジェントと呼ばれる患者にはどのように対応すればよいのか?
今回はモンスターペイジェントへの対処法や注意点について解説いたします。
モンスターペイシェントとは?
モンスターペイシェントとは、医師やスタッフに対して理不尽な要求をしたり、その言動によりスタッフの通常の業務を妨害する患者のことを指します。
クレームが起きる原因
患者が医師に期待していることと、実際に医師が患者に対して行えることの間には、大きな誤解があります。
例えば、患者は治療をすれば必ず症状は治ると考えていますが、治療をしたのに痛みが残っていたり、検査をしたのに病名を特定できなかったことなどがクレームに繋がることがあります。
そのような状態で治療を進めると、良くない結果が生じた場合に、たとえそれがミスと言えるようなものでなくても、患者は医師に対して強い不満を抱き、それがクレームへと発展してしまうことになります。
また、治療のミスや不手際が理由ではなく、医師の対応の仕方によって、ごく普通の患者様がモンスターペイシェントになってしまう可能性もあります。
例えば、患者から不満を言われた際に聞き流したり、謝ればいいんだろうといった態度を出していると、患者の気に障りモンスターペイジェントになってしまうケースがあります。
患者が不満を言ってきたら、聞き流さず相手がどんな不満を感じているのか気持ちを理解して対応することで解消されることがほとんどです。
ただし、明らかに理不尽な内容のクレームなどであった場合には、医師が対応せず、他の職員に対応を依頼したり、弁護士等の専門家に対応を依頼することも検討が必要です。
クレームの内容
よくあるモンスターペイシェントの例は以下のようなケースがあります。
・ささいなミスに対して過剰なクレームをつける
・医師の診察内容に納得せず、納得できるまで帰らない
・クレームをつけて医療費を支払わない
・待ち時間が長いことにいらだち大声で怒鳴る
・入院中に理不尽なクレームを言い続け、長時間の対応を強いる
初期対応の流れ
モンスターペイジェントからクレームを受けた際は、何より初動対応が肝心です。
病院側の損害賠償責任が問題となる場合(賠償型クレーム)、病院側の損害賠償責任が問題とならない場合(非賠償型クレーム)に場合に分かれます。
どちらになるかで対応を変えていく必要がありますので「事実関係の確認」と「問題点の把握と検証」を行い判断します。
対応する際は受付や電話口で済ませようとせず、別室に移動してもらうなどして、聞き取りを行いましょう。
患者様が何に不満を感じているのか、どうしてほしいと考えているのかをスタッフが整理しながら聞き取ります。
対処法
モンスターペイジェントの中には、マスコミへばらす、警察に告訴する、裁判をする、弁護士に相談するなどと、脅迫、強要、恐喝をしてくる場合もあります。
このような脅しをされても屈せず、毅然とした態度で対応し、その際のやりとりを録音する等、証拠として残しておくことも大事です。
場合によっては、警察に被害届を出したり、弁護士に相談することをおすすめします。
対応の際の注意点
①相手の話をよく聞く
ある程度の時間は患者の話を聴くことに専念しましょう。
その際、言い訳や積極的な反論はせずに、丁寧な言葉遣いや対応で相手の話を聞くようにします。
② クレーム内容を把握
患者が何に対して不満を持っているのか真意を見定めます。
③交渉窓口の一本化
交渉窓口を一本化することで事実や認識、考えの食い違いが起きないようにします。
また、患者に要求されても安易に院長や副院長など、病院幹部を出さないようにしてください。
相手が過大な期待を抱き、その場で解決を求めてくる恐れがあります。
④複数対応が原則です
交渉の際は、交渉担当と書記担当といった役割分担をし、複数で行うようにしましょう。
また、交渉の際は録音をして証拠を残すようにしてください。
⑤暴力や脅しをされた場合
弱みをみせるとそこにつけ入ってくるモンスターペイジェントもいます。
あくまで毅然とした態度で対応しましょう。
⑥対応マニュアルの作成
普段から、クレームやモンスターペイジェントに対する対応マニュアルを作成しておき備えることが重要です。
また、実際に事案が起きた際に院内で共有する報告会などをして、対応スキルを磨いておくことも大切です。
まとめ
今回はモンスターペイジェントへの対処法について解説しました。
普段から対応できるように備えておき、実際に事案が起きた際も毅然とした態度で対応することが大事です。
医療法人関連手続きでご不明なことやご心配なことがあれば、お気軽にイシカル法務事務所にお気軽にご相談ください。