Columnコラム

医療法人の持分放棄をするメリット・デメリットを徹底分析

医療法人 持分放棄

持分あり医療法人の持分を放棄できることはご存じでしょうか?
持分を放棄することはマイナスであると認識されている方も多いと思いますが、実は医療法人を相続をしていくうえでメリットが大きな選択肢です。

本記事では、医療法人の持分放棄に関するメリットとデメリットを徹底的に分析し、具体的な手続きや注意点について解説します。

医療法人の持分とは?

医療法人の持分とは、出資者が医療法人に対して持つ財産権のことを指します。

持分あり医療法人では、出資者が持分を有しており、医療法人の解散時や出資者の死亡時に持分権者から医療法人に対し、財産の払戻請求を行うことができます。

医療法人の解散時財産はどうなる?

持分あり医療法人が解散した場合、残余財産は出資者(持分権者)に保有する持分の割合に応じて分配されます。

例えば、出資者が2名が50万円ずつを出資して設立した医療法人が解散する場合、解散時に1億円の財産(便宜上負債がゼロと考えた場合)を持っていた場合、それぞれの出資者に5000万円ずつ(持分割合50%ずつ)が分配されます。

出資者が死亡した場合財産は相続できる?

出資者が死亡した場合、被相続人が有している医療法人持分は相続の対象となり、その額に応じて相続税が課せられることとなります。

例えば、出資者が100%の持分を持っていた場合で医療法人の財産(便宜上負債をゼロと考えた場合)が1億円あった場合、1億円の払戻権を相続することとなり、この1億円に対して相続税が課税されることとなります。
(財産状況によりこの限りではないことがありますので、詳しくは税理士へご相談ください)

医療法人側から見た問題

前述のとおり、持分あり医療法人の持分は払戻請求が可能であり、かかる請求を受けると多額の資金が流失することとなり、医療法人の経営に大きな影響を及ぼします。

また、多額の相続税が課せられるリスクもあるため、お子さんなどに医療法人の承継を検討されている場合、財産状況によっては持分を放棄した上で承継する方が、引き継がれるお子さんにとってメリットが大きくなる可能性があります。

持分放棄とは?

持分放棄とは、出資者が自らの持分を放棄し、持分なし医療法人へ移行することを指します。

ただし、単に持分を放棄すると、医療法人が払戻す負債が消滅したことになり、その消滅した額を利益とみなして課税されることとなるため、持分放棄をする際にはこのような課税が免除される”認定医療法人”の認定を受けることが重要です。

認定医療法人の認定を受けるためには、事前に財産の整理を行い、6年間の運営計画を作成・実施していく必要があるため、早めに行政書士へご相談ください。

認定医療法人のメリット

認定医療法人(持分なしへの移行)には以下のようなメリットがあります。

相続税・贈与税の優遇措置が受けられる

持分を放棄し、持分あり医療法人から持分なし医療法人へ移行することで、持分移転に関する相続税・贈与税がかかりません。(財産権の移転が無いため)

持分払戻請求を回避できる

持分なし医療法人へ移行することで、持分払戻請求を受けることがなくなり、急に多額の現預金が流失するリスクをヘッジできます。

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