医療法人の第三者承継は、後継者不足が深刻化する中で注目を集めています。
親族間での承継が難しい場合、第三者への承継が有力な選択肢となります。
本記事では、医療法人の第三者承継について、そのメリット・デメリット、具体的な流れや費用について詳しく解説します。
医療法人の第三者承継とは
医療法人の第三者承継とは、親族以外の第三者に医療法人の経営権を譲渡することを指します。
これは、医療法人内に後継者がいない場合や、親族間での承継が難しい場合に選ばれる方法です。
第三者承継のメリット
第三者承継には次のようなメリットがあります。
親族内での後継者がいない場合でも、第三者承継により医療法人の存続が可能となります。
また、さらに、既存の患者やスタッフを引き継ぐことで、経営の安定性が保たれやすいという利点もあります。
第三者承継のデメリット
一方で、第三者承継にはデメリットも存在します。
まず、経営方針や理念の違いから、患者やスタッフに不安を与える可能性があります。
また、譲渡金額や条件交渉に時間がかかることもあり、スムーズに承継が進まない場合があります。
第三者承継の流れ
第三者承継の具体的な流れは以下の通りです。
専門家に相談・依頼
まずは、税理士や弁護士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。
医院の評価・価値算定
次に、医院の資産や経営状態を評価し、譲渡価格を算定します。
これには、資産だけでなく負債を含む財務状況や患者数なども考慮されます。
承継先の選定
承継先の選定は、M&A仲介会社を通じて行われることが一般的です。
地域や事業規模、譲渡希望価格などを基に、適切な承継先を探します。
基本合意書の締結
承継先が決まったら、基本合意書を締結します。
これは、取引内容の基本的な事項を確認するためのものです。
DD(デューデリジェンス)
デューデリジェンスは、譲受側が譲渡対象の医院の評価やリスクを調査するプロセスです。
財務、法務、税務などの専門家が関与します。
譲渡契約書の締結
デューデリジェンスが完了したら、最終的な譲渡契約書を締結します。
これにより、正式に承継が完了します。
第三者承継時にかかる費用
第三者承継には以下のような費用がかかります。
譲渡対価
譲渡対価は、譲渡資産の時価や営業権(のれん代)から算出されます。
仲介手数料
M&A仲介会社に支払う手数料です。着手金、月額報酬、成功報酬などが含まれます。
不動産関連費用(個人医院の場合)
個人医院の場合、不動産の賃貸借契約や売買契約に伴う費用が発生します。
登記費用(医療法人の場合)
医療法人の場合、理事長変更の登記費用や行政届出費用がかかります。
DD(デューデリジェンス)
提示された譲渡価格が適正かどうか、財務、法務、税務などの専門家に依頼し、医院の評価やリスクを調査する費用です。
医師会入会金
開業予定地の医師会に入会することで、健診や予防接種など、市で費用を助成する医療業務の委託を受けることができます。
医師会の入会には、入会金や年会費が発生します。
第三者承継後の経営課題と対応策
第三者承継後には、以下のような経営課題が発生することがあります。
内装改修工事
承継後の医院の内装改修工事が必要になる場合があります。
老朽化した医療機器の買い換えや修繕費
承継後に提供する医療サービスの必要に応じて、老朽化した医療機器の買い換えや修繕費が発生することがあります。
マーケティング費用
新たな患者を獲得するためのマーケティング費用も考慮する必要があります。
医院承継手続きのご相談はイシカル法務事務所へ
医療法人の第三者承継は複雑な手続きが伴います。
専門家のサポートを受けることで、スムーズな承継が可能となります。
イシカル法務事務所では、医療法人の承継に関するご相談を承っております。
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