医療法人の設立に関する手続きはボリュームが多く、複雑なため、適切な計画と準備が求められます。
本記事では、医療法人を設立する際の基本的な流れとスケジュールについて詳しく解説します。
医療法人とは
医療法人とは、病院や診療所などの医療機関を運営するために、医療法に基づいて設立される法人です。
医療法人が開設する診療所は、理事長や管理者が退任した場合でも、次の理事長や管理者へ医療機関を引き継げるため、
永続的な運営が可能であり、また、設立手続きの厳格性から社会的信用が上がり、資金調達や設備投資においても有利とされています。
医療法人は、一般的に「社団医療法人」と「財団医療法人」に分けられ、それぞれの設立要件や運営方法が異なります。
簡潔にまとめると、社団医療法人は病院や診療所などを開設するという同じ目的を持った人が集まって設立される医療法人です。
一方で財団医療法人は、寄附された財産に基づいて設立される医療法人です。
令和5年度の段階では、社団医療法人が99%以上を占めているため、医療法人設立とは医療法人社団の設立を意味するとお考え頂いても問題ありません。
医療法人設立の手続きの流れ
医療法人設立の手続きは、都道府県によって違いはありますが、ここでは大阪府を例に基本的な流れを説明します。
①設立事前登録
医療法人の設立申請をするためには、申請の前に事前登録をする必要があります。
事前登録は、都道府県のホームページから行いますが、登録できる期間が短いため注意が必要です。
②設立に関する説明会
医療法人制度の概要や設立手続き、運営に関する基本的な知識を得るための説明会に参加します。
都道府県によって、直接会場に行く場合とオンラインの動画視聴を通じて出席する場合があります。
③仮申請
医療法人設立においては、いきなり本申請を行うことは稀で、本申請の前に仮申請を行うことが一般的です。
仮申請といっても中身は本申請と同様の書類を準備する必要がある点は注意が必要です。
④本申請
仮申請後、都道府県により書類がチェックされ、補正事項や確認事項が通知されます。
この補正等への返答は期限が設けられていることが多いですが、数日程度の期限とされていることがあり非常にタイトなスケジュールで対応していくこととなります。
仮申請書類の審査が完了すると、都道府県から本申請指示が出ますので、決められた期限までに設立者や関係者へ押印依頼を行い、規定の様式にて申請を行います。
ここでも、非常にタイトなスケジュールで進行することになるので、本申請が近づいてきたら関係者へ連絡してスムーズに押印できるよう事前の準備が重要です。
⑤設立認可
本申請後、医療審議会の審査を経て設立が適正と判断されると、都道府県知事から設立認可書が交付されます。
(医療審議会は年に2回開催される都道府県が多いです)
設立認可が下りると、法人設立のための登記申請手続きに進むことになります。
(登記は司法書士業務です)
⑥設立登記
設立認可の受領後2週間以内に、法務局へ医療法人設立登記の申請をします。
この時、法人の実印を登録し、印鑑証明書や法人履歴事項全部証明書の取得も依頼しておくと、設立後の各種変更手続きがスムーズです。
⑦法人診療所開設
登記完了後に以下の手続きをして、法人診療所の開設が可能となります。
設立登記完了届(都道府県)
開設許可申請(保健所)
保険医療機関指定申請(厚生局)
この他にも各法人で必要な手続きが異なる場合がありますので、専門家のアドバイスを受け適切に進めることが重要です。
医療法人設立のスケジュール
医療法人の設立は、各自治体が定めたスケジュールに沿って進める必要があります。
通常、医療法人設立のスケジュールは年2回のサイクルで組まれており、申請受付期間や審査期間が決められています。
このスケジュールに従って、申請書類の提出から最終的な設立認可までの手続きを計画的に進めることが求められます。
各自治体のスケジュールはそれぞれ異なるため、設立を希望する場合は、事前に自治体のホームページなどで確認し、スケジュールに合わせた準備を進めることが重要です。
医療法人を設立する際は行政書士イシカル法務事務所へお任せください
医療法人の設立は、多くの準備と計画が必要ですが、適切な手順を踏むことで円滑に進めることが可能です。
本記事で紹介した流れとスケジュールを参考にして、適切に進めてください。
特に、法的手続きや必要書類の準備は慎重に行うことが重要です。
医療法人の設立を成功させるためには、専門家のアドバイスを受けながら計画的に進めることが鍵となります。
医療法人設立手続きでご不明なことやご心配なことがあれば、イシカル法務事務所にお気軽にご相談ください。
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