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保険医療機関の管理者要件が明確化|令和8年医療法改正と開業・承継への影響を解説

保険医療機関の管理者要件が明確化|令和8年医療法改正と開業・承継への影響を解説

<保険医療機関 管理者要件 令和8年 医療法改正|開業・承継への影響>
令和7年12月成立・令和8年施行の医療法改正により明確化された保険医療機関の管理者要件について、
臨床研修修了時期ごとの違いや勤務要件、経過措置を実務目線で解説します。

令和7年12月に成立した医療法改正に関連して、
保険医療機関の管理者(いわゆる院長)の要件が、厚生労働省により具体的に整理・明確化されました。

これまで「一定の経験」とされていた部分が、制度として明文化されたことで、

  • これから開業する医師

  • 医療機関の承継を予定しているケース

  • すでに管理者となっている医師

いずれにも影響が及ぶ可能性があります。

本記事では、

  • 管理者要件の具体的内容

  • 臨床研修修了時期による違い

  • 勤務要件(見落とされやすい重要論点)

  • 経過措置の実務的な理解

について、実務目線で分かりやすく解説します。

1.管理者要件は「明確な数値基準」へ

今回の改正の本質は、管理者要件が

👉 抽象基準 → 明確な数値基準

に変わった点です。

改正前、保険医療機関の管理者となる要件は、おおよそ

・保険医であること
・医療機関の管理者であること

程度しか要件がありませんでしたが、法改正により、保険医療機関の管理者には一定の勤務経験が求めれることになりました。

これにより、開業や承継に大きな影響を及ぼすことが想定されます。

2.保険医療機関の管理者要件

令和8年4月1日以降、保険医療機関の管理者となるためには、一定の要件を満たす必要があります。
主に以下の2点です。

■(1)基本要件

  • 保険医であること

  • 臨床研修を修了していること

これは保険医療機関の管理者となる前提条件で、臨床研修修了時期によらず満たす必要があります。

■(2)実績要件

保険医療機関の管理者となるには、次のいずれかの経験要件を満たす必要があります。

【原則ルート】

  • 初期研修終了後、保険医療機関たる病院(歯科の場合は診療所でも可)において

  • 保険医として

  • 3年以上診療に従事

👉 「病院での勤務経験」が明確に求められている点が重要です。

■(3)代替ルート(例外的取り扱い)

以下のような場合には、例外的に要件を満たすとされます。

  • 専門医資格等を有する場合

  • 地域枠・自治医大等の対象者

  • 医師として5年以上の公務員勤務

  • 複数の経験の通算(合計5年以上)

  • 緊急承継などやむを得ない事情

👉 制度としては
「原則3年+例外的救済」構造です。

■(4)臨床研修修了時期による違い

ここが実務上の最重要ポイントです。

① 2026年4月1日以降に臨床研修を修了する医師

  • 初期研修終了後、病院(歯科は診療所可)で3年の従事経験が必要
    そのまま3年要件適用

② 2026年4月1日時点で既に臨床研修を修了済みの医師

👉 臨床研修期間も含めて、病院または診療所で、診療に従事等した経験が通算3年以上必要


(厚生労働省 「保険医療機関の管理者の要件・責務について」より引用)

つまり、

  • 既に一定のキャリアがある医師は
    → 実質的にハードルが緩和されている

という整理です。

3.勤務要件(実務で最も重要な落とし穴)

「3年の経験」は単なる在籍では足りません。
勤務実態が厳格に問われます。

■(1)基本基準

  • 週4日以上

  • 週31時間以上

→ 月単位で判定
→ 36か月分必要

👉 非常勤の寄せ集めでは基本的に不足します。(救済措置は前述の通り)

■(2)複数施設勤務

  • 各施設 週2日以上

  • 合計 週31時間以上

👉 医局人事を前提とした例外です。

■(3)育児・介護配慮

  • 週30時間以上で可

■(4)大学院・研究医

  • 週16時間以上診療
    → 期間の1/2を算入

■ 実務上の結論

  • 「在籍」ではなく稼働実績で判断される

  • 非常勤中心キャリアは要注意

👉 開業前提なら早期からのキャリア設計が必須となります。

4.経過措置の考え方

次に重要なのが経過措置です。既に開設されている保険医療機関向けに、経過措置が設けられました。

■ 対象となるケース

  • すでに臨床研修修了済み

  • ただし3年の勤務要件を満たしていない

  • 既に保険医療機関の管理者である

■ 内容

👉 最大3年間の継続が可能

2026年4月1日時点で管理者である方は、同一保険医療機関の管理者である限り、3年間は引き続き管理者であり続けることができる
という経過措置が設けられました。

■ 実務的な理解

この3年の経過措置は単なる猶予ではなく、

  • 保険医療機関の管理者として診療に従事→ 診療実績が積み上がる→ 要件充足

    という流れとなり、

    「現に臨床研修を修了した医師又は歯科医師である者は、現に保険医であるとともに、「保険医療 機関において3年以上保険医として診療その他管理及び運営に関する業務を行った経験」を有する場合(法に規定す る要件に比べ、診療以外の業務も行うことを認める緩和した要件)は、保険医療機関の管理者となることが可能。」

    という経過措置の適用を受け、以降は保険医療機関の管理者となることが可能となります。

👉 実質的には、保険医療機関の管理者を一定期間継続すれば、“管理者要件は自動的にクリアする設計”

と理解して良いと思われます。

5.開業・承継への影響

■ 新規開業

  • 2026年4月以降、若手医師の開業は難化することが想定される。
    また、複数の医療機関を開設する医療法人等は、管理者の確保がより困難となることが想定されます。

■ 承継(M&A)

  • 後継者の要件チェックが必須

  • 経過措置の活用が鍵→一定の引き継ぎ期間の確保等、承継に要する期間の長期化が予想されます。

6.今後の実務対応

現時点では、

  • 手続方法

  • 判断基準

  • 地方厚生局の運用

👉 完全には確定していません

したがって、

  • 通知・省令の確認

  • 個別事案ごとの判断

が不可欠です。


最後に

イシカル法務事務所では、

  • 開業可否の事前相談

  • 管理者要件の充足チェック

  • 承継スキーム設計

など、制度改正を踏まえた実務支援を行っています。

具体的なケースについては、お気軽にご相談ください。

(文責:イシカル法務事務所 事務局)

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