Columnコラム

後継者がいない医療法人の承継問題と対応策

医療法人 後継者がいない

昨今、開業医の高齢化に伴い、医療機関の後継者不足という深刻な問題が生じています。

特に地方の医療機関では、後継者が見つからないために廃業を余儀なくされるケースが増えています。

本記事では、医療法人における後継者不足の現状と、その対応策について詳しく解説します。

医療法人における後継者不足の現状

医療法人の理事長の平均年齢は60歳を超えており、後継者がいない医療法人の割合は約70%に達しています。
参考:帝国データバンク「医療機関の 「休廃業・解散」 動向調査 (2023 年度)」

子の中に医師がいない、または子が医療法人を継ぐ意思がないという理由で、親族内での承継が難しくなっているようです。

医療法人に後継者がいない場合の選択肢

後継者がいない医療法人が取るべき選択肢として、以下の2つが考えられます。

第三者承継

第三者承継とは、親族以外の第三者に事業を引き継ぐ方法です。

一般的には医療法人のM&Aと呼ばれることが多いですが、休眠状態の医療法人や、診療所を廃止している医療法人などは都道府県の認可が下りにくいことがあるので、ご注意ください。

医療法人の承継は、その医療法人が開設している診療所を承継するのが本来の姿であり、
”法人格だけ”のような譲渡は許認可的に難しいので、譲渡価格が安いからといって安易にそのような案件をつかまされないよう気をつけましょう。

第三者承継は、医療法人の存続を図るための有効な手段であることには変わりないため、早い時期から検討するのも良いと思います。

廃業

後継者が見つからない場合、最終的には廃業を選択することもあります。
廃業には、スタッフの解雇や患者への対応など、多くの手続きが伴います。

医療法人の場合、診療所を廃止した後に、都道府県へ解散認可申請を行うことが必要です。

解散認可申請は、年2回ほど開催される医療審議会へ諮られ、認可後には解散登記をしたり、残余財産の整理などを行います。

認可申請から実際に精算が完了するまで1年ほどかかることがあるので、早い時期から準備を始める必要があります。

多額の残余財産が生じた場合、その残余財産が国庫に帰属してしまうため、計画的に退職金を支給するなどして、適切に処理することが必要です。

第三者承継のメリット

第三者承継の最大のメリットは、スタッフの雇用を維持し、患者への医療提供を継続できる点にあります。

また、これまでに法人内に蓄えた剰余金から退職金を支給することで、引退後の生活資金も確保することができます。

第三者承継のデメリット

一方で、第三者承継にはデメリットも存在します。

まず、適切な承継先を見つけるのが難しいことです。
M&A業者によっては高額な着手金を請求されることがあるので注意が必要です。

また、許認可手続きが複雑になるため、法的に問題が無い状態で承継するためには、
許認可の専門家である行政書士の関与が必要となります。

医療法人のM&Aによる事業承継

近時、医療法人のM&Aは、地域に医療機関を残す仕組みとして非常に注目されています。

開業視点で考えても、備品や医療機器の購入を最小限に抑えることができ、また、資金計画も立てやすくなるM&Aは、”SDGS的”な開業として、今後ますます増加していくのではないでしょうか。

後継者がいない医療法人が専門家の支援を受けるメリット

後継者がいない医療法人が行政書士などの専門家から支援を受けることで、承継手続きがスムーズに進むだけでなく、適切な承継先を見つけられる可能性が高まります。

また、専門家のネットワークを活用することで、より多くの承継先候補と出会うことができます。

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