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医療法人を解散する際の残余財産の帰属先は?課税はされるのか?

医療法人 解散 残余財産

医療法人を解散する際、最も重要な問題の一つは残余財産の処理です。

解散後に残る資産はどこに帰属するのか、そしてその資産に対して課税が行われるのかは、関係者にとって大きな関心事です。

本記事では、医療法人解散時の残余財産の帰属先について詳しく解説し、さらにその財産がどのように扱われるかについても触れていきます。

医療法人解散における残余財産とは

医療法人解散における残余財産とは、解散後に債務の全てを弁済した後に残る資産を指します。

具体的には、解散決議後に債権の取立てや債務の弁済を行った後、負債よりも資産が大きい場合に残る資産のことです。

この医療法人の残余財産の帰属先は、法律によって定められています。

医療法人解散後の残余財産の帰属先

医療法人が解散した際に残る財産、いわゆる残余財産は、その法人の種類や状況に応じて帰属先が異なります。

以下に、具体的なケースごとに残余財産の帰属先について説明します。

他の医療法人と合併する場合

医療法人が他の医療法人と合併する場合、財産は新たに合併後の法人に引き継がれます。

合併により、解散する法人の財産や負債、権利義務すべてが存続する法人に包括承継されます。

持分のある社団医療法人の場合

持分のある社団医療法人が解散する場合、持分を有している出資者に残余財産が分配されます。

分配の割合については、定款に従って適切に処理されます。
(一般的には持分割合に応じて払い戻されます)

また、分配された財産に対しては、課税が行われる場合があるため、税務処理についても注意が必要です。

持分のない医療法人の場合

医療法改正により平成19年4月1日以降、持分ありの法人の新設が認められなくなりました。

そのため、平成19年4月1日以降に新設した医療法人または持分のない医療法人においては、残余財産の帰属先を定款に定めることができます。

ただし、定款または寄附行為の定めるべき残余財産の帰属先は、医療法第44条第5項により、
国もしくは地方公共団体または医療法人その他の医療を提供する者であって、厚生労働省令で定める者のうちから選定されるようにしなければならないと限定されています。

つまり、医療法人の社員(≒株主的意味の社員)には分配することはできません。

また、帰属先の定めがない場合は、国庫に帰属することになります。

残余財産に関する課税

医療法人が解散した際に発生する残余財産について、その帰属先や種類に応じて課税が行われる場合があります。

まず、持分のある社団医療法人の場合についてです。

解散時に残余財産が個人である出資者に分配され、その分配額が実際に出資した額よりも多い場合は、
所得税法第25条1項により、利益の配当又は剰余金の配当とみなされ、所得税が課税されることがあります。

一方、持分のない医療法人の場合、残余財産は個人の出資者に帰属しないため、社員個人が課税されることは原則としてありません。

まとめ

医療法人の解散に伴う残余財産の処理は、帰属先や課税に関する知識を持つことで、適切な対応が可能となります。

本記事で紹介した情報を参考に、解散手続きに際しては専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

医療法人解散手続きでご不明なことやご心配なことがあれば、イシカル法務事務所にお気軽にご相談ください。

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